今回はシナリオのプレイレポである。BtSは本編の改善だけでなく多数の優れたシナリオも含んでおり、これを手付かずのままにしておくのは少々勿体無い。折角だから普段とは別の世界も覗いてみようという企画である。 今回選択したのは「カール大帝」だ。舞台は6世紀の地中海地方、プレイヤーは西ヨーロッパ諸侯の一人となって地域の覇権を目指す。雰囲気はWLの中国シナリオと似ているものの、外交面でやや複雑さが省かれている分パワーゲームの性格が強くなっている。登場する指導者も帝国志向や攻撃志向などが多く、戦争狂には天国だろう。むしろデフォルトで攻撃的AI設定が適用されるので戦争狂以外は天国行きと言うべきか。戦争好きの方もそうでない方も最後までお付き合い頂ければ幸い。
ゲームには11文明が登場するが、その内プレイヤーが担当できるのは西ヨーロッパの5文明のみ。今回は主人公扱いのカール大帝を選択した。
ゲーム速度は通常、難易度は天帝に設定する。 本シナリオの通常ゲームとの主な相違点は以下の通り:
なお宗教評価点を得られるのはプレイ可能な指導者のみ。玉座を巡る5者の争いが基本路線となりそうだ。
西ヨーロッパを中心とした陸マップ。西はイベリア半島の付け根から東はポーランドまで、北はイングランドから南はギリシャまで。元々ローマ帝国だった地域が分裂して争っている状態である。
プレイヤーの担当文明。独仏の一部とベルギー・オランダに相当する地域を支配する。東部はザクセン、西部はネウストリアとブルグントに接し、南方はアルプスの壁に隔てられている。東西どちらに攻め込む場合も背後の守りが課題となるだろう。
パリに根拠地を置く北仏の王。周囲を他国に囲まれつつも創造志向の力を借りて国境を圧迫できる。袋叩きにされる危険もあるが・・・。外交音楽はルイ14世と同じ。
南仏の女王。マップの端なので挟み撃ちに遭う危険は小さいが、東には強国が控えている。いかに連合を形成するかが拡張の鍵だろう。外交音楽はイザベラと同じ。
アルプスの南、北イタリアのジェノヴァ地方を治める王。北方を山脈が塞いでいるため比較的安全な立地と言える。平和主義者でもあり、戦乱の中心からはやや離れた位置に留まると思われる。外交音楽はフリードリヒと同じ。
何という悪人顔。どう見ても今脱獄してきた凶悪犯である。兄弟を全て殺害して王位を手中に収めたという経歴がこの扱いを生んだのだろうか?領地はフランス南東部で外交音楽はナポレオン。
何というOKサイン。どう見ても病室を抜け出した老人である。文明の中心たるローマを保有しているが、新規の入植がほぼ不可能なので一都市で頑張る他無い。キリスト教国とは戦争できず、アラブとは講和できない。外交音楽はCiv3の中世。
本編にも登場するBtS新指導者。首都コンスタンティノポリスが地図の外なのでギリシャが本拠地になっている。イタリア半島南端にも飛び地を持っており、拡張の余地だけなら全文明中最大である。
#ref(): File not found: "細木数子.jpg" at page "プレイレポ/シナリオ/ローマを継ぐ者/その1"
オーストリアとハンガリーに跨る文明。半ば蛮族の様な扱いで指導者も名無しである。周囲の空き地は多いが初期保有技術が少ないという弱点がある。外交音楽はビスマルク。
ポーランドとドイツ東部を領有。これまた半蛮族の扱いで技術が少ない。空き地の多さを味方につければ勢力を伸ばせるか。外交音楽はピョートル。
蛮族その3。ブリテン島に閉じ込められているため拡張の余地すら絶無である。唯一の強みは侵略価値が無いので他国に攻め込まれない事。外交音楽はエリザベス。
唯一のイスラム教国。チュニジアを本拠に北アフリカを領有する。他国とは海で隔てられているため交戦はほとんど不可能。益体も無い言い方をすれば隔離状態である。
ゲームを始めると配置画面に移り、プレイヤーには所定のゴールドが与えられる。シナリオで設定された額は900ゴールドだが、今回は天帝難易度を選択したので675ゴールドに減額されている。これを使って都市やユニットを購入するのだ。 購入に必要な費用は概ね生産コストに比例している。ユニットや施設は必要ハンマー数=必要ゴールドであり、技術なら必要ビーカー数が購入費になる。また都市はひとつ100ゴールド、文化0の都市に10文化を与えるのは25ゴールド、視界1スクエアにつき5ゴールドなど様々なものに値札が付いている。なお余ったゴールドはそのまま開始時の国庫に入る。
アウストラシアがその基盤とすべく購入した物は以下の通り:
買い物リストについて少々解説を加えておく。
人口も購入できるがやや割高である。ユニットは経験値0なので戦闘用に関しては自力で作る方が良いだろう。
592AD、いよいよゲーム開始。宗教評価点は33からスタートである。まず社会制度を世襲制・奴隷制・組織宗教に変更。無政府状態の間に労働者を動かし、市民の労働タイルを整備する。最初の研究目標は機械。この世界の弩兵はコスト据え置きのまま戦闘力8に強化されているのだ。ちなみに長弓兵は戦闘力8、鎚鉾兵は戦闘力10、騎士は戦闘力12となっている。首都は最初からキリスト教が伝播しているので宣教師を生産。第2都市は鍛冶場を建設する。
ローマを中心とした地域には舗装街道が最初から敷設されている。これは工学無しで3倍の移動速度を提供する中世の高速道路だ。このローマ帝国の遺産に沿って斥候を移動させ、効率よく探索と他文明への接触を進める。最初の10ターンは強制世界平和により相互に宣戦できない。世界に穏やかな時間が流れる。
そうこうする内に第2都市の人口が2に増加。それと同時に反乱民が発生した。 天帝でも4人までは問題ない筈なのだが・・・と思い都市を見てみると
不幸の理由:
何が起きている。
どうやら指導者の宗教評価点が低いと領民が不満を爆発させる仕組みらしい。人口2人の村で3人を不幸にするとは教皇侮りがたし。結局アングロサクソンへの使いに出していた弓兵を呼び戻すまでこの反乱は続いた。
周囲の様子も明らかになって来たので内政方針を策定する。まず最重要課題の軍事だが、ハンマー産出の多い第2都市をユニット生産都市に設定する。鍛冶場と教会に続いて兵舎を建造し、弓兵と剣士を生産して都市の守備に当たらせる。
一方、科学研究は偉人の消費による獲得を中心に据える事を決定。理由は二つ。
つまりゲームを通して自力開発する技術の絶対数がかなり少なくなる。となれば小屋から商業を得るよりも偉人ポイントの獲得に心血を注ぐ方が効率が良いはずである。普通選挙と言論の自由が登場しない事も小屋経済を不利にしている。 そして偉人ファームに選んだのは首都メスである。小屋を作成しないので官僚制の意義が薄く、首都は何ら特別でないのだ。鍛冶場と図書館を建造して専門家3人の常時雇用体制を整える。
そして664AD、最初の偉大な技術者ジョン・ローブリングが誕生。この時点で取得できるのは「鎧鍛治」というシナリオ独自の技術である。シナリオ独自のユニット「重装剣士」を解禁するのに必要だ。ちなみにこのユニットはハンマー70・戦闘力8・都市攻撃+10%という剣士の強化版である。
偉人はそのまま待機となった。
内政が落ち着いてきた所で北方の開拓に着手する。空き地を挟んで東方に位置するザクセンは帝国志向を持っており、行動の遅れは自国を猫の額に閉じ込める恐れがある。労働者を派遣して開拓先への道路を敷設しつつ、第2都市ケルンで開拓者を生産する。この世界の開拓者は生産コストが200ハンマーになっているので帝国志向は大きな助けになる。ケルンの強力な生産力もあり6ターンで生産完了、無事北海沿岸の漁場に入植を果たす。
第3都市マインツは水産物に加え宝石と染料も採れる豊穣の地だ。鉄などの資源が無く生産力には不安が残るが、奴隷達の血でそれに代えるとしよう。
さて新都市で漁業を始めるには文化圏の拡張が不可欠。ケルンで宣教師を生産しキリスト教を伝播させた。すると領内のキリスト教徒の増加により宗教評価点が41まで上昇、"あなたは「道を外れた者」に昇格しました"というメッセージが舞い込む。昇格する前は何だったのだろうか。
更に拡張を進めるべく準備を整えていると、今度は隣人に動きがあった。首都メスのすぐ北、第2都市ケルンの東にザクセンの都市オルデンブルグが築かれる。アウストラシアとしてはやや困った事態である。というのもオルデンブルグはメス・ケルン・マインツ及び第4都市建設予定地へ容易にアクセスできる場所にあり、ここを拠点にアウストラシアに攻め込まれると守備兵の配置が非常に難しいのだ。こうなると王国軍は東部国境にかなりの兵力を常時張り付けざるを得ず、西方のネウストリア及びブルグントへの備えが不十分になってしまう。
アウストラシアは対ザクセン戦争を決意。まずは下準備として外交による隣国の中立化を図る。具体的にはブリテン島のアングロサクソン王国と東欧のバイエルン王国に技術を提供し、それぞれ北仏のネウストリア王国と南仏のブルグント王国に宣戦してもらう。周囲の王国に自身の戦線を抱えさせ後顧の憂いを断つ作戦である。更にザクセン王国がブルグントの要請を受けてバイエルンに宣戦、はるか南のビザンツ帝国も2ターン後それに倣う。アウストラシアはやや遅れて720ADにザクセン侵略を開始、こうしてアキテーヌとランゴバルドを除く全文明が戦争状態に突入した。
アウストラシア軍の中核を成すのは最新兵器クロスボウ。戦闘力8で対近接特攻という破格の性能に加え防衛志向のボーナスも付いている。攻撃部隊がカタパルトの支援下で国境都市オルデンブルグを攻撃、剣士中心のザクセン守備部隊を壊滅させ同市を占領した。
同時期、宗教評価点の報酬として特殊ユニットが発生。長鉾兵の上位版、戦闘力8のスイス人傭兵である。さらに対近接特攻と都市防御ボーナスまで付いており殆ど隙が無い。新たな戦力を加えたアウストラシア軍はザクセンの王都ハンブルグを目指し一直線に進撃、弓兵の相手を得意とする騎乗歩兵に苦戦しつつもこれを陥落させた。
ザクセン軍は王都奪回を目論み重装剣士3体とカタパルトを差し向ける。寄せるザクセン王は攻撃志向、守るカール大帝は防衛志向という矛と盾の争いである。アウストラシア軍は先の戦いにおける負傷兵を抱えていたものの、長弓兵らの活躍で快勝を収める。更に偉大な将軍スキピオも誕生し、防衛・帝国志向の強みを存分に満喫した。ちなみにスキピオは生産都市ケルンに士官学校を設立。
734ADを以ってアウストラシアはザクセンと講和。侵攻部隊を王都方面に帰還させた。
同時期、他国の情勢にも動きが見られる。バイエルンはビザンツの強大な軍事力に膝を折り属国化。東欧に帝国が形成される。続いて740AD、南仏のアキテーヌが沈黙を破り隣国ネウストリアに宣戦。ネウストリアは二正面作戦を嫌いアングロサクソンと講和した。
さてアウストラシアにとって目下の懸念は西方のブルグントである。対バイエルン戦終結に伴いまとまった量の兵力が本国に帰還、国境近くの小都市ウィーンに集結している。ザクセンを叩いてアウストラシアに従属させるにはマップ東端までの大遠征が必要だが、その間この機動部隊に背を見せる事はかなりの無謀さを要する。かと言ってアウストラシア軍を二分するのも上策とは言い難い。いくら弱体化してもザクセンはそれなりの兵力を未だ有しており、左手を西方に置いたまま右手だけで捻じ伏せられる相手ではないだろう。
アウストラシアは積極的解決を目指す。先ずブルグントに決戦を挑んでその戦力を撃滅し、然る後に馬首を返してザクセンへ攻め上る計画である。自力開発した同業組合により「重弩兵」を連続生産する。このユニットは弩兵の上位版に相当し、ハンマー90・戦闘力10という同時代最強の兵種である。騎士の解禁技術が職業軍人の後なので長く主力を務める事になりそうだ。またバイエルンとの技術交換で鎧鍛治を取得、2人の技術者を消費して工学を即座に開発した。これでアウストラシア王国軍は戦闘力と機動力の両方を充実させた事になる。
752AD、アウストラシア軍はウィーンを守るブルグント軍に先制攻撃。同市は丘陵地に建設されているものの、駐留兵力の殆どは防御効果を得られない騎兵系である。重弩兵8体を中心とした精鋭軍団は守備隊を圧倒、軽騎兵など10ユニットを撃滅する戦果を挙げる。2ターン後の756ADにアウストラシアはブルグントから賠償金をせしめて講和、他国の介入を招く事無く当初目的を達成した。
ちなみにこの戦いで偉大な将軍モンゴメリーが誕生。軍事教官としてケルンで教鞭を執っている。
これでアウストラシアの東方遠征を阻むものは何も無い。768AD、重弩兵10体を含む17ユニットがザクセン領内に侵入。旧式の重装剣士らを蹴散らしながらオスナブリュック・リューネブルグの2都市を攻略する。776ADを以ってザクセン降伏、アウストラシアはビザンツに続く2番目の帝国となった。
ここまでの戦闘成績:40勝3敗 偉大な将軍:2人 宗教評価点:100
ローマを継ぐ者(2)につづく